2010年11月22日

「いい夫婦の日」にちなんだ話

いい夫婦ってもさ、いろんな愛の形ってあるのよね。
最近なんていうか、ものすごい感慨深かった、とか、そんな形容では追いつかない話に出クワした。


60過ぎのオバ女史(間違っても女子じゃない)なんだけど、
職場でものすごいインパクトある人物がいる。
常にミニスカート(しかもそれが似合ってる)、
対外的にはものすごい丁寧な口調で応対するんだけど、
実はすっごいキッツイ人。
スタイルが良くて、おしゃれで、かつては相当美人だっただろう。
そんで相当モテただろうと思わせる人。
写真がないのが残念。
密かに、そのオバのファンな私。

そのオバだけ、妙にとんがった発言をする。
ときどき、神が降臨してくる。
「よくさあ、1人で淋しくないかって言われるけど、別にね。
孤独なんて慣れるもの。だいたい、人はみんな孤独なの」
とか。

「うちの亭主はとにかく、ついぞ一度も働いたことがない人だったから」
とか。

どういうことなのかと思って、ある日サシで聞いてみた。
働いたことのない亭主に、どんな心境でいるのだろうか知りたくて。


そしたら語ってくれた。

まだ学校に行ってる時分、家庭教師だったのが彼。
2人は夢中になり、彼女はそれからというもの、学校には行かなくなった。
学校に行くと言って家を出て、行く先は彼のところ。
学校に怒られても、親に怒られてもそんな毎日。
出席日数が足りなくて、後からどうにか卒業させてもらえたと。

だから学校出たら、そのまま一緒に暮らして、結婚した。
ナニがなんだかわからなかったけど、つまりそういうこと。

学研肌の彼は、大学で教授になろうとしていたが、学内の教授たちの権力闘争のアオリを受けて失職。
もとより身体が弱くて、しょっちゅう倒れたり入院してたから、まともな仕事はできないだろうとみていた。
かつプライドが高くて、「なぜ自分が勤め人なんかにならなくてはいけない?」と。

そして彼は会計士?(忘れた)だかの資格を取ろうと、そのタイトルを持って大学に復帰しようと試みた。
それでも試験間近になって入院したり、何年かかかって、ついに「今年の試験は完璧だった」という年に、
試験問題の漏洩事件がり、ご破算になるという不運。

「だからしょうがないから私が働く以外ないじゃない?
子どもだってちっさいから」
と言う。


「私はね、考え方をガラッと変えたのよ。
これはもう仕方がないって。
嘆いても、文句イッても、ナニが変わるわけじゃなし。
こればっかりはね。
じゃあ、自分が黙ってやればいいんだってことね。

みんなに言われたわよ。
あなたなんでそんな苦労するの?って。あなたカワイソウって。

でもね、そうかしら?
考えてもみてよ、一番カワイソウなのは、私じゃないの。彼なのよ。
だって、好きなことがやれないんだもの。
自分は優秀だって思ってて、自信だってあるのによ?
活躍の場がないんだから。
あなたこれほどカワイソウなことはないと私は思ったね。
男の人にとって、働ける場がないってことほど気の毒なことないでしょう?
だから私は自分がカワイソウなんて思ったことなかった。
そりゃいろいろと辛いこともあったし大変ではあったわよ。
でも彼の気の毒さに比べたら。
私は働けるんだもの」

私は絶句した。

「本当にそう思ってたから、働かない彼をなじったり、責めたりしたことは一度もないのよ。
それに彼は家のことは、本当によくやってくれた。
よく気がつく人で、面倒見がいいし、話も上手で、
しょっちゅう友だちが来てたけど、みんないつも大笑いしてね。
楽しかった。

それに子どもたちのいい父親だったわよ。
私は安心して働きに出れた。

私も特に子どもたちの前では、いつも彼をもり立てていたし、
悪口を言ったことなんて一度もなかった。
だから子どもたちはお父さんのことが大好きだったよ。
死んで何年もたつけど、イマだに子どもたちにとって、彼はいいお父さん。
お父さんが大好きよ」


・・・・ヤバいと思った。
私、いままでいろんな「すごい人生」の話を聞いてきたけど、
これが決定版だと思う。今後もこれ以上の話はないだろう。

てか、
小説かと思った。

でも現存する人の口からリアルに聞いた話。


そんで私が言ったのは、
野口さん、かっけーーーーーーー!

これ以外の言葉はすべて意味がない気がした。


そのあと彼女はニヤっと笑って、
「まだまだ、あるわよ。私にはいっぱい。いっぱいお話があるの」
と言った。


posted by ガミガミ at 19:35| 東京 ☁| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 お久しぶりでございます。

すごい!このはなし。鳥肌たったよ!!!

決定版だね。教えてくれてありがとう、

なにかのふしに、思い出すわ、これからきっと。
Posted by とうしゅ at 2010年11月25日 13:30
すげーでしょ?
決定版でしょ?

人生長く生きてくると、それに見合ったインパクトに出会うものだね。そして、そのタイミングに合った話を聞けるものなんだなって思った。

いろんな人がいて、学ぶことが多いよ・・・・

Posted by とうしゅへ at 2010年11月25日 14:02
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